今日は、
これの話です。
「グレンギリー18年 1988 ダンカンテイラー・ピアレス 」
ピアレス(peerless)は、比類ないという意味。
ダンカンテイラー社というのは、ウイスキーの蒸留所ではなく、
瓶詰め業者(ボトラーズ)です。
色々な蒸留所から色々なウイスキーを、"樽ごと" 買い集めていて、
その中から選りすぐったものを、瓶詰めして販売しています。
そんな訳ですから、特定のウイスキーを樽1つ分、瓶詰め し終えると、
そのウイスキーは生産終了です。
このグレンギリー18年が、日本に36本しか存在しない理由も
お分かりいただけますかね?
その代わり、同じグレンギリーでも、色んな樽詰め年数や
熟成年数のものが、ダンカンテイラー社より販売されています。
さて。
昨年末に引越しをした私ですが、今住んでいる新しい町に
正直、少々不満があるのです。
昔からプロレタリア~な町のため、近所の酒屋に足を運んでも
ウイスキーが殆ど置いてないからです。
#あったとしても、安かろう悪かろうな、2ℓペットボトル入りの
#ウイスキーとかー。(^^;)
前の住んでいた町は、フランス人街がそばにあったためか、
酒屋には、色んな種類のウイスキーが置いてありました。
私が、「引越し前に、何か一本、スコッチウイスキーを
買わねばなるまい」と思うのは必然と言えましょう。
酒屋をうろついては、吟味に吟味を重ねていたのでした。
そして目に入ったのが、グレンギリー10年(2,300円)。
大通り沿いの、お婆さんが店番をしている、古い酒屋の
隅っこの棚の最上段に、一本だけ置いてあったものです。
正直、破格の安値!
これにてリサーチは終了、あとは買いに行くだけとなりました。
と、そこに、お芝居の稽古が入ってしまったんですな。→
■その酒屋は、店番がお婆さんだからか、閉店時間がとても早く、
稽古後に買うことが出来ませんでした。
悶々としながら、あっと言う間に、引越しの前日。
稽古をお休みさせてもらい、朝から新居の掃除です。
夕方、掃除を終えた頃には、雨が降り出しました。
帰宅すると、外はもう、目も当てられないような土砂降り。
しかしもう、ウイスキーを買いに行くチャンスは今夜しかない訳で、
傘を差して、グレンギリーを買いに出かけました。
びしょ濡れになりながら、例の棚を見ると
――ない?(゚д゚ )
自分の目が信じられなくて、店内のビールコーナーをうろついたりし、
心を落ち着かせてから、再び例の棚を見ると
やっぱりナイ━━(゚Д゚;)━━━ッ!!!!!
どうにも諦め切れず、お婆さんにどこへしまったのか尋ねたら
「お客さんと、
入れ違いに出て行ったアベックが
買って行きましたよ」と教えて下さいました。
ちなみに、帰宅したら雨はやみました。
で、後日。
やり場のない怒りを稽古場で「先日は酷い目にあってしまってね」と、極めて冷静に、
かつ、ジェントリィに、メンバーに話をしたことがあったのですが、
それを覚えていてくれた、芝居の主催である平本未來が、公演終了後、
このグレンギリーを、僕にプレゼントしてくれたのでした。
高すぎる贈り物に、少々目眩を覚えましたが、有難くいただいています。
決して、彼に八つ当たりしたとか、靴に画鋲を入れたとか、
酔って絡んだとか、そんなことはしてないので、誤解のなきよう。
いや、本当だよ?