徒歩で移動していたときのこと。
自転車に乗ったおっさんが僕を追い抜き、そして、
目の前でUターンして止まりました。
「すいません、ちょっと聞きたいんですけど」
てっきり道を尋ねられるものと思い「なんですか」と
無防備に返したら、全然違う質問が飛んで来た。
「あなたの信仰する神は何ですか?」
――だって。
不意を突かれて「阿弥陀如来?」なんて、あやふやな返答をしたら、
突然大声で「阿弥陀如来!? 阿弥陀如来が神!?」と絶叫し、
片腕を頭上でぐるぐる回しながら、どこかへ去って行きました。
おそらく馬鹿にされたのは分かるが、何を馬鹿にされたのかが
分からない。
気を取り直して再び歩き始めたものの、歩くにつれて、
どうしてあの時、もっとちゃんと考えて返答をしなかったのかと、
自分が許せなくなり、家に帰るとすぐに もろもろ調べました。
で、分かったこと。
阿弥陀様は「仏様」であって神様ではない、ってことらしい。
仏教における偉い存在は仏様か……。
幼稚園でそんな歌を歌ったわ、考えたらさ。
いつ如何なる時も油断してはいけないことを、改めて学んだ俺だった。